節句人形豆知識
Trivia
知れば知るほど奥深くて面白い、節句人形の豆知識をご紹介します

よくあるご質問 FAQ

Q1雛祭りには、なぜひな人形を飾るの?
ひな祭りの原形は、平安時代のお人形(ひいな)遊びと、簡素な人形(ひとがた)に自分の厄(やく)や災いを移して川や海に流した流しびなの行事が結びついたものです。ですから、ひな人形を飾ることには、ひな人形が身代わりとなってくれて、その子に災いがふりかからないようにとの願いを込めて飾るものです。
Q2雛祭りはどのようにお祝いするの?
本来はひな祭りの当日ですが、前の晩(宵節句(よいぜっく)といいます)にお招きしてお祝いするのもよいでしょう。両家の両親やお祝いをいただいた方、普段親しくしている方たちを招きます。
ひな祭りのお祝いは、お母さんの心づくしのごちそうでお祝いしてください。ひな祭りのごちそうは、お寿司とはまぐりのお吸い物がつきものです。はまぐりは、他のはまぐりのフタとは絶対に合わないところから、女性の貞節を教える意味で使われます。
また、お寿司が好まれるのは、ちょうど新鮮な春の魚介類が出回るため、季節感を味わうのによいからです。
Q3雛人形を飾る時期はいつからいつまで?
立春(二月四日)頃から二月中旬にかけて、遅くともひな祭りの一週間前までには飾りたいものです。
Q4雛人形は誰が買うもの?
古くは嫁入り道具のヒナ型として婚家へ贈ったという歴史もありますから、お嫁さんの実家から贈るのが普通です。また、ひな人形には前述のような意味がありますから、おじいさんやおばあさんが心を込めて選んで贈るのがふさわしいものです。
お仲人さんや親戚、友人は、ケースに入ったわらべ人形、御所人形、市松人形を贈ることが一般的です。
Q5雛人形の購入時期は?
ご購入時期のピークは、一般的に1月初旬から2月初旬、この期間なら豊富な種類からお好みの雛人形を選ぶことができます。雛人形が店頭に並びだすのは、おおよそ11月ごろからで、人気の商品から順次完売していきます。10年、20年と長く飾る雛人形だからこそ、満足のいくものを購入できるよう早めのご検討をお勧めいたします。また、弊社のオンラインショップでは、年中ご購入いただけますので、ぜひ一度覗いてみてください。

日本人と人形

人形に生命(いのち)を見いだす日本人

日本人にとって人形は、時には人々の畏敬や信仰の対象であり、時には子供たちのよき遊び相手であり、また時にはその美しさを愛でる愛玩の対象でもありました。
さらに、四季折々の節句の風習から生まれた《ひなまつり》や《端午の節句》からは多くの節句人形が誕生。独自の人形文化が育まれ、いつの時代も日本人が人形を敬い愛する心に変わりませんでした。日本人にとって、人形は単なる飾り物や遊び道具ではなく、つねに生命あるものとして扱われてきたのです。

人形感謝祭

人形に対する日本人独特の感性を象徴するものに、全国各地の社寺で行われる「人形感謝祭」あるいは「人形供養」があります。 そこには各家庭での役割を終えた人形たちが集められます。
由緒のある昔の人形から、最近のぬいぐるみまで、集まる顔ぶれはいろいろですが、いずれも、お人形たちに癒された持ち主が感謝の気持ちを込め、供養に出されます。 これらの人形たちは、僧侶や神職に抜魂されたのちに、その役目を全ういたします。
久宝堂では、組合を通じて大阪・四天王寺境内において半世紀にわたり人形感謝祭の運営に携わっております。

節句人形が伝える日本の伝統と美意識

節句人形は江戸時代に盛んになり、現代に至っています。江戸時代の人々は、人形にあこがれを託し、より美しく、より華やかなものを求めました。そんな人々の希望に応えるように、人形工芸は次第に発達し、素材も贅沢になっていきました。あまりの過熱ぶりに幕府は度々禁令を出しましたが、人々の人形を求める気持ちを静めることはなかなかできませんでした。幸せを祈って飾る人形への熱い思いは、現在の節句人形にも脈々と伝えられています。人形はもちろん付随する道具類も、すべて熟練した技から丁寧に作られ、さらに織物や染色、木工、漆芸、金工などの技術もふんだんに用いられます。配色やデザインなどはその時代時代の流行を反映してはいるものの、そこには伝統的な日本の美意識が息づいています。
節句人形は、日々の生活から薄れていく日本の文化や美意識、手仕事の技とその心を次の世代へと伝える大切なかけ橋といえるでしょう。

五節句と節句人形

日本の風土に融け込んだ中国生まれの節句

日本には豊かな四季の中で育まれた多くの「節句」があります。この節句は、もともと中国から奈良時代に伝えられた風習でした。それを稲作を中心とした日本人の生活のリズムにうまく適合させたことから、節句は日本の季節行事として深く根を降ろし、現代に至っているのです。
昔はたくさんの節句がありましたが、このうち現代に伝わる五節句は、江戸時代に幕府がそれまでの節句をもとに公的な祝日として制定したものです。

  • 1月7日
    人日の
    節句
  • 3月3日
    上巳の
    節句
  • 5月5日
    端午の
    節句
  • 7月7日
    七夕の
    節句
  • 9月9日
    重陽の
    節句
五節句とは

五節句には、3月3日、5月5日のように奇数の重なる日が選ばれていますが、これも中国の考え方の影響です。ただし1月だけは1日(元旦)を別格とし、7日の人日(じんじつ)を五節句の中に取り入れています。
また、これらはお正月の七草、3月の上巳(じょうし/じょうみ)の桃、5月の端午(たんご)の菖蒲、7月の七夕の竹、そして9月の重陽(ちょうよう)の菊と、必ず季節の草や木に彩られるのが特徴となっています。

節句は節供(せっく)
祈りとともに人の絆を深める宴

それぞれの節句には独自の意味がありますが、いずれもその季節に見合った供物を神に捧げ、のちに人々がその供物を共に飲食する点は共通しています。「節句」が「節供」とも書かれるのもこのためです。昔の人々にとって、節句は一種の民間の神事であると同時に、祈りを共にすることで人々の絆を深める行事であり、日常の雑事を忘れて身体を休め、日頃あまり口にできない滋養のあるものを食べて鋭気を養う貴重な機会でもあったのです。

現代では、神事としての意味は薄れましたが、節句の祝いは、核家族化が進む中で、祖父母から孫までが世代を超えて団欒の時を持つ、貴重な機会となっています。ひなまつりや端午の節句に代表される季節の行事に、まわりの大人たちが集まり、自分の成長を祝福してくれた記憶は、いつまでも子供の心に残ることでしょう。そんな機会をできるだけ作り、これを何度も積み重ねていくことで、家族の絆を大切にする心が自然に育まれます。
また、くらしの中に季節感の乏しくなった昨今、節句の飾りをし、季節の料理で人々をもてなすことは、四季を味わいながら、人と人との絆を深めるよい機会となります。これもまた、現代の節句の大切なありかたでしょう。